中津川アースデイマーケットもあと2週間後となりました。初めての開催で、いろいろと不備な点もあるかと思いますが、実行委員みな頑張っておりますので、引き続き応援よろしくお願いいたします。
遅くなりましたが、中津川アースデイマーケットの趣意書を作成いたしました。私達が何を目指しているのか、この趣意書に盛り込んだつもりです。この想いを多くの方に伝えるべく、この会を盛り上げ、来年以降も継続して開催できればと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
■□■趣意書■□■
今回、中津川アースディマーケットを開催に関し、多大なご協力やご参加を頂き有り難うございます。
今世界は、大変な金融不安・原油高・食糧不足が騒がれております。
資本主義によって拡大してきた経済は、縮小に転じても、その根本の流れは変わりません。原油高によって私達の暮らしに大きな影響を与え、経済も混乱していますが、そもそも原油は限りあるものです。
1960年代に発見された数々の大油田も、産出は2010年がピークであり、1960年以降に大油田の発見は、減少しています。石油の産出が減少に転ずれは、産油国はますます減産し、投機マネーは、さらに集中するでしょう。そして石油の値段は乱高下しながら高止まりするでしょう。また大量にあるオイルサンドも高止まりしなければ、採算に合わないと言われています。
いずれにせよ石油が1バレル50ドルという時代は終わったのです。ところが我々の生活は1バレル50ドルということが前提として成り立っていたことに気づくのです。身の回りの製品に数多くの石油由来のプラスチックが使われ、石油を利用して運ばれてきたものだらけです。われわれは、ここ100年の間で、祖先が溜め続けてきた石油を食って、“便利に”“ゆたかに”生きてきたのです。有限であるにもかかわらず。
そんな中、今まで農業に見向きもしなかった日本の経済誌各社は、「食糧危機」「食の戦争」「漁食の危機」「食糧争奪」等々、食に対する不安を煽る記事が並び始めました。“何を今更”の感はありますが、当然であります。
人口が増えることで食糧生産が追いつかず、また地球温暖化の影響等を受け、気候変動が著しく、ある場所では大干ばつ、ある場所では洪水による被害を受け、今までのように食料を大量生産できる状況ではなくなってきました。
日本でも人口がどんどん増え、江戸末期は3000万人だった人口が、今や1億2000万人と4倍に膨れました。江戸期は鎖国のため、日本の資源を活用した循環型社会でした。輸入せずに自国で養えたのが3000万人だったのです。しかし現在は日本の食糧自給率が40%に満たない始末。日本で食べる食べ物の半数以上を、石油を使って遠い外国から運んできているのです。さらに、食料を生産するための肥料も、農薬も、また農業機械も全て石油が使われ、その輸送にも使用されているのです。
まさに自然と向き合う農業生産までも、石油漬けになっているのです。
…肥料の三大要素と言われる「窒素・リン酸・カリ」は、窒素は空中の二酸化窒素を取り出すために大量の石油を使用し、リン鉱石はアメリカ・中国・中東で産出されるが、戦略物資として実質輸出が制限され、カリ鉱山は、大手メジャーに買い占められて、言い値で買わざるを得ない。…
日本は自国で肥料も自給出来ないのです(肥料の自給率1%と言う見方もあります)。今後、肥料の高騰(昨年比160〜170%上昇)は収まらないでしょう。原油に頼っている限り、この状況からは逃れることはできません。
そのような状態のなかで、岩手の農家も大きな影響を受けております。
今年から来年に掛けて、大型農家の倒産があいつぎJAがまた負債を抱えるのでは…という噂が、まことしやかに囁かれております。農政は大規模の効率化を目指し、また大規模営農組織をつくる政策を取っておりますが、そのため、原油高・肥料高をまともに受ける形になります。
そこへまた「国民の食糧を守るため」に税金を投入すると言う悪循環のシステムになることが予測されます。しかし、金融不安から縮小経済の中で、税収が上がることは考えられません。
まして社会資本整備が遅れている地方経済が、活性化できるでしょうか。
また、お金で食糧が手に入らない可能性もでてくることでしょう
そんな中で家族を守り、地方が生き残る道は、周辺の中小の農家と結びつくことではないでしょうか。ちいさな畑や田んぼは、そんなに原油を必要とせず、また援農によって農家を助けることが出来ます。また水産資源や林産資源の有機質肥料をつかえば、収量が落ちても十分に育つことが出来ます。
まさにグローバル社会の破綻で、ローカルの循環型仕組みが可能になると言う皮肉的な結果となっているのです。
したがって、このアースディマーケットは、単なる食の安全だけでなく、地域内循環・地域内自給の試みの場として捉えています。自然豊かないわてだからこそ、第一次産業が盛んないわてだからこそ、できる取り組みだと考えています。消費者が生産者とつながり、密な交流をすることで地域内の循環を作り出し、現在のグローバル社会が生み出した弊害を打破することができる先進的な場所だと思っています。社会的には「先進的」ですが、暮らしとしては心の通った「古きよき日本」を目指しています。
多くの市民がこのことに気づき、中小の有機農家との結びつきに参加して頂けるように切にお願い申し上げます。
平成20年10月吉日
中津川アースデイマーケット実行委員会
実行委員長 早野 崇
(ロジデリ いわてのいいもの発信プロジェクト代表)
副委員長 渡邉里沙
(里の幸代表、岩手喜楽人 (きらびと)主宰)
実行委員 小島 進
(盛岡市・ちいさな野菜畑代表)
実行委員 高橋慶子
(東京朝市・アースデイマーケット事務局長)
事務局 寺井良夫
(おもてなしプラザ運営協議会事務局次長)